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第19話 フェアファックス城

作者: けもこ
last update 公開日: 2026-07-28 20:21:57

「ドーバンさん、よろしくお願いします。ローティシアです」

「奥さま、私はただの使用人です。どうぞ『ドーバン』とだけお呼びください」

「はい……」

「まずはお疲れでしょうから、お部屋へご案内いたします」

ドーバンの後を追って、ローティシアは石造りの城の中へと足を踏み入れた。

広々としたエントランスには、高い天井と色鮮やかなステンドグラス。そこから差し込む光が、床に幻想的な模様を描いている。

歴代当主の肖像画が並ぶ回廊を抜けると、空気の質が変わったように感じられた。

「こちらが居住区域です。あちら奥には使用人の部屋があり、私は反対側の回廊の先におります」

さらに進むと、深紅と紫が混ざった重厚な絨毯がまっすぐに延びていた。

「こちらが奥さまの居室です」

女神像と神木が彫り込まれた重厚な扉が開かれる。

部屋の中には白く柔らかな絨毯、寝椅子にソファ、作業机とティーテーブル。奥には天蓋付きの大きなベッド。クマの毛皮がそこに広がっていた。

「左手の扉が書斎、向こうの扉は旦那さまの居室とつながっております」

ドーバンが指差した先に目を向けると、思わず頬が熱くなる。

「奥さまのお世話をいたします侍女の
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  • 夢見る白銀の乙女は傲慢な将軍に娶られる   第19話 フェアファックス城

    「ドーバンさん、よろしくお願いします。ローティシアです」「奥さま、私はただの使用人です。どうぞ『ドーバン』とだけお呼びください」「はい……」「まずはお疲れでしょうから、お部屋へご案内いたします」ドーバンの後を追って、ローティシアは石造りの城の中へと足を踏み入れた。広々としたエントランスには、高い天井と色鮮やかなステンドグラス。そこから差し込む光が、床に幻想的な模様を描いている。歴代当主の肖像画が並ぶ回廊を抜けると、空気の質が変わったように感じられた。「こちらが居住区域です。あちら奥には使用人の部屋があり、私は反対側の回廊の先におります」さらに進むと、深紅と紫が混ざった重厚な絨毯がまっすぐに延びていた。「こちらが奥さまの居室です」女神像と神木が彫り込まれた重厚な扉が開かれる。部屋の中には白く柔らかな絨毯、寝椅子にソファ、作業机とティーテーブル。奥には天蓋付きの大きなベッド。クマの毛皮がそこに広がっていた。「左手の扉が書斎、向こうの扉は旦那さまの居室とつながっております」ドーバンが指差した先に目を向けると、思わず頬が熱くなる。「奥さまのお世話をいたします侍女のメイアです。こちらで長年仕えております」先ほどから控えていた女性が丁寧に頭を下げた。「メイアにお茶を用意させますので、どうぞご休憩を。半時ほどで再び参ります」ドーバンが退出すると、メイアが静かにお茶の支度を始めた。アビゲイルの言葉が、ふと脳裏をよぎる。『――せいぜい使用人に馬鹿にされて』侍女の所作の美しさに、思わず気後れする。ティーカップを手にしたら、震えてこぼしてしまいそうだった。「ありがとうございます」小さく息を吐いて、ローティシアは微笑みながら礼を言った。メイアは驚いたように目を見開いたが、すぐに柔らかな笑みで応え、膝を折って頭を下げた。香り高いお茶は、不思議と心をほぐしてくれた。◇◇◇その後、ドーバンに城内の主要な部屋の案内を受けた。図書室、資料庫、応接室、食堂、晩餐室——ついて回るだけで膝が笑ってしまうほどの広さだった。「差し当たり、お過ごしになる場所はこのあたりでしょう。明日以降、他の場所もご案内いたします」居室に戻ると、湯桶が運ばれてきた。メイアが静かに勧める。「奥さま、晩餐の前にお湯に浸かってお身体をお休めください」ゆっくりと湯に身を沈める

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